患者様向けの情報

患者様向けの情報

  • 2025年07月07日

    熱中症を防ぐためにできること

    今年も暑さが厳しくなる季節がやってまいりました。
    特に本年は、例年以上に気温が高くなると予想されており、高齢者の方にとって「熱中症」は決して他人事ではありません。
    近年では、室内でも発症するケースが増加しており、冷房の使用を控えていたり、水分補給の習慣がなかったりすると重症化するおそれもあります。
    大切なのは「暑さを感じにくくなる体の変化」を理解し、早めに対策を講じることです。
    今回はご自宅で実践できる熱中症対策をご紹介いたします。
    暑い夏を元気に、そして安全に過ごすために、どうぞご活用ください。

    ■ なぜ高齢者は熱中症になりやすい?

    ・ 加齢により「暑さを感じにくい」「発汗・皮膚血流が低下」「水分不足になりやすい」ため、高齢者は熱中症リスクが高いとされています。
    ・ 冷房を我慢する傾向があり、気づかないうちに体温が上昇してしまいます。
    ※熱中症の40%以上は「室内」で発生しています

    ■ 日常生活での対策

    ① 室温と湿度をこまめにチェック
    ・ 室温が28℃以上を超えないようエアコンを活用
    ・ 換気も忘れず、湿度は50~60%程度に保ちましょう
    ② こまめな水分補給
    ・ 「のどが渇く前」に一口ずつ飲む習慣を
    ・ お茶やお水だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクも効果的です
    ③ 服装や寝具を見直す
    ・ 通気性の良い衣服を着用(特に就寝時)
    ・ひんやり素材のタオルや枕を活用
    ④ 体調の変化に注意
    ・ 「いつもより元気がない」「食欲がない」など小さな変化も見逃さずに
    ・ 少しでも異変を感じたら、すぐに休ませ、冷やす・水分補給を行いましょう< ・ 意識がおかしい場合や応答がおかしい場合は救急通報を。回復後も1人にせずに見守ることが推奨されます

    ■ 熱中症警戒アラートを活用しましょう

    ・ 環境省と気象庁は「熱中用警戒アラート」を発表しています
    ・ テレビやスマホ、LINEなどで最新情報を確認できます
    今日の暑さ指数(WBGT)を確認して外出や室温調整の目安にしましょう


    出典

    厚生労働省 熱中症を防ぐために知っておきたいこと

    気象庁 熱中症から身を守るために

    環境省 熱中症予防情報サイト

  • 2025年06月16日

    ウェルシュ菌による食中毒にご注意ください

    気温が高くなる季節を迎え、食中毒のリスクが高まる時期となりました。 特に高齢の方は、体調を崩しやすく重症化する恐れもあるため、日々の食事管理には注意が必要です。 訪問診療をご利用の皆さまやご家族様に、安全にお過ごしいただけるよう、ウェルシュ菌についてご案内いたします。

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    1.ウェルシュ菌とは?

    ・ 自然界やヒト・動物の腸内に広く存在する芽胞性嫌気性菌です。
    芽胞(がほう)をつくるため、100℃で加熱しても生き残ることがあります。
    ・菌や芽胞を含む食事を摂取すると、体内で毒素が生産され、腹痛・下痢などの食中毒を発症します。
    (潜伏期間:6~18時間、平均10時間)

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    2.特に注意が必要な食品は?

    主に次のような煮込み料理が要注意です。

    ・カレー、シチュー、煮物、スープ、麺つゆなど
    ・大量調理後、室温で放置されると、菌や毒素が増える可能性があります

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    3.リスクと注意事項

    ・高齢になると腸の抵抗力が低下するため、わずかな菌でも発症しやすく、症状が重くなるケースもあります
    ・特にご自宅で調理された煮込み料理は、温度管理と保存方法に工夫が必要です

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    4.ご家庭での予防法(農林水産省推奨)

    以下の3つを習慣にしましょう
    ①できるだけその日のうちに食べきる  
    ウェルシュ菌は12~50℃で急増するため、長時間放置しないこと
    ②調理後は小分け&速やかに冷却・保存  
    温かいまま大きな容器に入れず、浅い容器や保存袋で広げ、小分けにすると早く冷えます
    ③再加熱にひと工夫を  
    おためで鍋底までしっかりかき混ぜながら中心部まで熱を通すことで、毒素を不活化できます

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    これからの季節、ウェルシュ菌による食中毒を防ぐためには、ご家庭でのちょっとした工夫と心がけが何より大切です。 もし発熱や下痢などの症状がみられた場合は、早めにご相談いただくことで重症化を防ぐことができます。 煮込み料理=安心という思い込みは禁物です。 「すぐ冷やす」「小分けにする」「しっかり温める」の3つを意識し、みなさまのご家庭でも安全な食事環境を整えていきましょう。 今後とも安心・安全な在宅医療の支えとなれるよう、努めてまいります。

    参考リンク

    農林水産省:煮込み料理を楽しむために~ウェルシュ菌による食中毒にご注意を!

     

  • 2025年05月30日

    在宅医療の質を高める“医療 DX”とは?

    2024年の診療報酬改定から1年。 在宅医療におけるICT(情報通信技術)活用や医療DXの推進が本格化し、現場では新たな取り組みが定着し始めています。 この記事では、在宅医療分野で注目された新たな加算の内容と、ICT活用によって変わりつつある在宅医療の姿を解説します。


    ■どんなことが評価されるようになったのか

    今回の改定では、以下のようなICT活用の取り組みに対して、診療報酬が加算される制度が新設されました。


    ●医療・看護・介護がつながる仕組みの評価


    • 在宅医療情報連携加算(100点)

      ICTを活用し、医師・看護師・薬剤師・介護職など複数の職種が患者情報を共有できる体制を整えた場合に評価されます。

    • 在宅がん患者緊急時医療情報連携加算(200点)

      夜間・休日などの緊急時に、他院の患者を往診する際にも、ICTで情報共有できる体制を評価します。


    ●ICTでできることが広がっています


    • 訪問看護医療DX情報加算(5点)

      訪問看護ステーションがオンライン資格確認を通じて取得した患者の受診歴や薬剤情報を診療に活用する体制を評価します。

    • ICTを活用した遠隔死亡診断の補助(150点)

      遠隔地の医師と連携し、看護師がICTを使って看取りをサポートする体制を評価します。最期の時間を安心して迎えられる体制づくりが進んでいます。


    ■何が変わるの?利用者・ご家族にとってのメリット ICTやDXの推進によって、在宅医療を利用される方やご家族にとって、以下のような利便性と安心が広がります。


    • 複数の医療・看護・介護関係者が同じ患者情報をリアルタイムに共有

      → 無駄な重複や伝達ミスが減り、よりスムーズで安全なケアが実現します。

    • 緊急時の対応が迅速に

      → 夜間・休日でも必要な情報が他院の医師に届き、迅速な対応が可能になります。

    • 自宅での看取り支援の選択肢が広がる

      → ICTを活用した遠隔診断補助により、ご家族の希望に沿ったかたちで看取りを迎えられます。


    ■医療DXは地域医療を支えるインフラに

    医療DXの推進は単なる効率化にとどまらず、「地域全体で患者さんを支える仕組みづくり」へと発展しています。限られた医療・介護資源を有効に活用し、誰もが安心して質の高い在宅医療を受けられるよう、日本訪問診療機構では最新の制度や技術を取り入れ、さらなる体制強化を目指しています。


    ●用語解説

    ICT(Information and Communication Technology)

    パソコンやスマートフォン、インターネットなどを使って情報を集めたりやりとりしたりする技術(例:Web会議、電子カルテの共有など)。

    RPA(Robotic Process Automation)

    事務作業をソフトウェアで自動化する技術。正確かつ効率的に業務を進めることで、医療従事者の負担軽減に貢献します。


    ■参考資料
    厚生労働省:

    令和6年度 診療報酬改定の概要【在宅(在宅医療・訪問看護)】

    令和6年度 診療報酬の概要【医療DXの推進】

  • 2022年02月18日

    ふじみ野市立てこもり事件

    埼玉県ふじみ野市で、訪問診療医が凶弾に倒れるという、痛ましい事件が発生してしまいました。

    犠牲となってしまった医師をはじめ、同時に怪我を負われている理学療法士・医療相談員の方、ご家族の皆さま、そして、共に地域で在宅医療・介護を支えているすべての事業者の皆さまへ、心より哀悼の意を表します。

    当事者でしか理解できないことがあったのだろうと思いますが 、 犯人が取った行動は許されることではありません。

    在宅で過ごされている患者様・ご家族様が、その方らしい生活を送ることができるように様々な方が、昼夜問わず奮闘しておられるのが在宅医療の現場です。

    地域を支えたいと願い、訪問診療医を目指す方の妨げにならぬよう、いたずらに在宅医療がこの事件により注目されることは無論のこと 、 当機構としましても二度とこうした痛ましい事件が起きないことを切に願います。

    改めて、今回事件に巻き込まれてしまったすべての方へ、心よりお悔やみ申し上げます。



    日本訪問診療機構

  • 2021年06月07日

    紹介状が必要な病院の基準が拡大されました

    令和2年度診療報酬改定で、紹介状が必要な病院の対象範囲が拡大されました。



    《対象となる病院》

    診療報酬改定前:

    「特定機能病院」と「400床以上の地域医療支援病院」

    診療報酬改定後:

    「特定機能病院」と「200床以上の地域医療支援病院」



    軽傷患者はまず地域のかかりつけ医を受診してもらうよう促すことで、大病院は入院治療に注力することを目的としています。

  • 2021年05月19日

    令和3年度 介護報酬改定について

    介護職員の人材確保・処遇改善にも配慮しつつ、物価動向による物件費への影響など介護事業者の経営を巡る状況等を踏まえ、+0.70%。

    ※うち、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価0.05%(令和3年9月末まで)



    《改訂における主な視点》

    〇感染症や災害への対応力強化

    〇地域包括ケアシステムの推進

    〇自立支援・重症化防止の取り組みの推進

    〇介護人材の確保・介護現場の革新

    〇制度の安定化・持続可能性の確保



    令和3年1月18日

    令和3年度介護報酬改定の主な事項について

    厚生労働省 社会保険審査会



    ※算定される介護報酬には基準があります。

    ※介護保険の請求等(算定要件や単位数等)についてのお問合せは、管轄する自治体の介護保険担当課まで御確認ください。

  • 2021年04月26日

    病床ひっ迫時における在宅要介護高齢者が感染した場合の留意点等について

    《介護サービス事業所における新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた取組について》

    (一部抜粋)

    病床ひっ迫時には、在宅の要介護高齢者が感染した場合についても、やむを得ず自宅療養となる場合が想定されます。

    自宅療養にあたって、当該要介護高齢者については、居宅介護支援事業所及び地域包括支援センターが、必要に応じて保健所と相談し、生活に必要なサービスを確保することや、その際、保健所とよく相談した上で、訪問系の介護サービスの必要性を再検討することが求められます。

    <具体的に求められる対応>

    1)訪問系の介護サービスの必要性を検討の結果、サービスを提供することとなる場合には、感染防止に向けた対応に留意すること。

    ・サービスの提供に当たっては、訪問時間を可能な限り短くする等、感染防止策を徹底すること。具体的には、サービス提供前後における手洗い、マスクの着用、エプロンの着用、必要時の手袋の着用、咳エチケットの徹底を行うと同時に、事業所内でもマスクを着用する等、感染機会を減らすための工夫を行うこと。

    ・感染している利用者に直接接触する場合または患者の排泄物を処理する場合等は、サージカルマスク、眼の防護具、長袖ガウン、手袋を着用すること。

    ・自宅療養中においては、都道府県等が毎日健康状態のフォローアップを行うが、サービス提供中に状態の変化等がみられた場合は、事業所は速やかに都道府県等の担当職員に連絡すること。

    ①療養上必要であれが、主治医の指示の下に、訪問看護を利用することや、訪問系の介護サービス事業所が居宅介護支援事業所等と連携しながら、看護師等の専門職の同行訪問による支援を受けること。

    ②訪問系の介護サービスについて、保健所、居宅介護支援事業所等や、必要に応じ、市町村や都道府県にも相談し、利用者が必要な介護サービスが提供されるようにすること。

    令和3年2月5日

    厚 生 労 働 省 新型コロナウイルス感染症対策本部


  • 2021年04月19日

    在宅で新型コロナウイルス感染が疑われた場合の対応

    在宅で新型コロナウイルス感染が疑われる場合、家庭内では次の8つを注意してください。

     1)  部屋を分けましょう

     2)感染者のお世話はできるだけ限られた方で行いましょう

     3)マスクをつけましょう

     4)こまめに手を洗いましょう

     5)換気をしましょう

     6)手で触れる共有部分を消毒しましょう

     7)汚れたリネン、衣服を洗濯しましょう

     8)ゴミは密封して捨てましょう

    ・ご本人の外出は避けてください

    ・ご家族、同居されている方も熱を測るなど、健康観察を行い、不要不急の外出を避け、特に咳や発熱などの症状があるときには、職場に行かないでください。

    ご家庭でご注意いただきたいこと

    ~8つのポイント~

    厚生労働省(令和2年3月1日)

  • 2021年03月31日

    令和2年 医科診療報酬点数について

    「医科診療報酬点数」令和2年4月1日 厚生労働省告示

    R2年における、訪問診療が必要な患者が複数の疾患を有している等、「2ケ所目の医療機関による訪問診療」に関する評価については下記のとおりです。




    〇在宅患者訪問診療料Ⅰ


      2 他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合


       同一建物居住者以外 884点


       同一建物居住者   187点


    ※在宅時医学総合管理料等の算定要件を満たす他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合に、一連の治療につき6月以内に限り(神経難病等の患者を除く)月1回を限度として算定。



  • 2018年04月01日

    平成30年度診療報酬改定について

    前回、介護報酬改定を取り上げましたが、診療報酬改定についても、団塊の世代が75歳になる2025年を目前にした点数改定で、「在宅医療の推進」に向けた改定が行われています。

    厚生労働省発行の「平成30年度診療報酬改定の概要」において「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」、「医療と介護の連携の推進」と明記されており、次のような見直しが行われます。

    訪問診療が必要な患者が複数の疾患を有している等、在宅医療ニーズの多様化に応えるべく、「2ケ所目の医療機関による訪問診療」に関する評価が追加されます。


    〇在宅患者訪問診療料Ⅰ


      2 他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合

       同一建物居住者以外 830


       同一建物居住者   178



    ※在宅時医学総合管理料等の算定要件を満たす他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合に、一連の治療につき6月以内に限り(神経難病等の患者を除く)月1回を限度として算定。

     

    また、在宅支援診療所以外の医療機関も積極的に在宅医療を実施している背景より、「複数の医療機関の連携する24時間体制の確保」、「在宅支援診療所以外の医療機関による医学管理の評価」に関する新加算が増設されます。


    〇継続診療加算 216点(1月に1回)

    ※当該保険医療機関の外来又は訪問診療を継続的に受診していた患者であること。



    ※算定患者ごとに、連携する医療機関との協力等により、24時間の往診体制及び24時間の連絡体制を構築すること。



    ※訪問看護が必要な患者に対し、訪問看護を提供する体制を有していること。



     

     

    その他、「患者の状態に応じたきめ細やかな評価」、「末期の患者への緊急対応の評価」、「ターミナルケアの評価の充実」にも焦点を当てた改定となっており、今回の改定を受けて在宅医療がどのように変化していくのか、注目されるところです。


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